設備投資を検討している中小企業にとって、先端設備等導入計画は、
設備投資にかかる固定資産税の負担を軽減できる制度の一つです。
一定の要件を満たした場合、固定資産税の課税標準を1/2または1/4に軽減できます。
「新しい機械や設備を導入したい」
「設備投資にかかる税負担を抑えたい」
このような企業は、設備を取得する前に先端設備等導入計画の活用を検討してみるとよいでしょう。
なお、固定資産税の特例を受けるためには、先端設備等導入計画の認定要件に加えて、
固定資産税の特例措置の要件を満たす必要があります。
本記事では、令和7年(2025年)4月1日からの制度変更を踏まえて、
先端設備等導入計画を活用した固定資産税の特例について、利用できる対象者や特例を受けるための要件、
対象設備、必要書類、申請の流れまで、ポイントを絞って解説します。
固定資産税の特例を利用できる対象者は?
固定資産税の特例を利用するためには、まず「先端設備等導入計画」を策定し、
設備を設置する予定の市区町村から認定を受ける必要があります。
先端設備等導入計画とは、中小企業者が設備投資を通じて労働生産性の向上を図るために策定する計画です。
そのうえで、固定資産税の特例を利用するためには、以下の対象者に該当することが必要です。
・資本金または出資金の額が1億円以下の法人
・資本金または出資金を有しない法人のうち従業員数が1,000 人以下の法人
・従業員数1,000人以下の個人事業主等
ただし、大企業の子会社等は対象外となっていますので注意が必要です。
また、固定資産税の特例は、すべての市区町村で同じ条件で利用できるわけではありません。
申請先は、設備を設置する予定の市区町村であり、
その市区町村が先端設備導入に係る固定資産税の軽減措置を講じていることが要件となります。
設備を設置予定の市区町村が対象になっているかどうかは、以下ページよりご確認いただけます。
↓↓↓
先端設備導入に係る固定資産税の軽減措置を講じている市区町村
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/seisansei/index.html
特例を受けるために必要な計画の要件
固定資産税の特例を利用するためには、先端設備等導入計画(以下、「計画」と記載。)の認定に加えて、
固定資産税の特例に関する要件も満たす必要があります。
まず、計画の認定を受けるためには、主に以下の要件を満たす必要があります。
① 計画期間が3年、4年または5年であること
➁ 計画期間中の労働生産性が年平均3%以上向上すること
③ ➁について、認定経営革新等支援機関から事前確認を受けること
④ 計画が国の基本方針および市区町村の「導入促進基本計画」に適合すること
⑤ 計画を円滑かつ確実に実施できること
固定資産税の特例を受けるためには、上記に加え、以下の要件も満たす必要があります。
・計画に、雇用者給与等支給額を1.5%以上増加させる賃上げ方針を位置づけるとともに、
従業員に賃上げ方針を表明した旨を記載すること
固定資産税の軽減対象となる設備
対象となる設備は、上記の要件を満たし、認定を受けた計画に従って取得する設備のうち、
労働生産性の向上に必要な、生産・販売活動等に直接使用される以下の設備です。
ただし、中古資産は対象外です。
・機械装置:160万円以上
・測定工具・検査工具:30万円以上
・器具備品:30万円以上
・建物附属設備:60万円以上
※市区町村によって異なる場合があるため、設置予定先の市区町村の情報を必ずご確認ください。
さらに、対象設備は認定経営革新等支援機関が発行する
「先端設備等に係る投資計画に関する確認書」に設備名が記載されていること、
そして設備投資による年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれる投資計画であること
が要件となります。
設備の価格だけではなく、その設備投資によってどのような利益や効果が見込まれるのかも重要になります。
なお、現在の固定資産税の特例は、令和9年(2027年)3月31日までに取得した設備が対象です。
固定資産税の特例措置の内容
令和7年(2025年)4月1日から制度が切り替わり、固定資産税の特例を受けるためには、
従業員に対して賃上げ方針を表明し、その内容を計画に記載することが必須になりました。
特例の内容は、賃上げ方針の表明内容によって固定資産税の軽減期間と割合が異なります。
・1.5%以上の賃上げ方針を表明した場合
→3年間、課税標準を1/2に軽減
・3%以上の賃上げ方針を表明した場合
→5年間、課税標準を1/4に軽減
つまり、高い賃上げ方針を表明することで、より長期間、固定資産税の軽減を受けられる仕組みです。
賃上げ方針を表明したものの、実際の賃上げが表明どおりに実施できなかった場合について、
現在の中小企業庁の制度資料では、賃上げ未達による罰則や特例の返還等は示されていません。
また、中小企業庁のQ&Aでは、表明内容に沿った賃上げを実施できなかったことだけを理由として、
税の追納等が発生するものではないとされています。
ただし、賃上げ方針を表明する以上、実現可能性を十分に検討したうえで計画を作成することが重要です。
なお、「1/2」「1/4」というのは、固定資産税そのものを直接半額・4分の1にするという意味ではありません。
固定資産税を計算する基となる金額=課税標準を1/2または1/4に軽減する制度です。
難しく聞こえますが、基本的には、最終的に支払う固定資産税の額も
そのまま1/2または1/4になりますのでご安心ください。
申請に必要な提出書類
一般的には、以下の書類を準備します。
・先端設備等導入計画の認定申請書
・認定経営革新等支援機関による事前確認書
・認定経営革新等支援機関が発行する投資計画に関する確認書
・従業員へ賃上げ方針を表明したことを証する書面
その他、納税証明書や返信用封筒など、市区町村が独自に必要とする書類などもあります。
また、リースによって設備を取得する場合には、
リース契約見積書の写しや固定資産税軽減額計算書の写しなど、追加の書類が必要になる場合があります。
必要書類や申請方法は市区町村によって異なる場合があるため、申請先の最新情報を確認しましょう。
本制度を利用する際の注意点
■設備の取得時期に要注意
本制度を利用する場合、設備は計画の認定を受けた後に取得する必要があります。
認定前に取得した設備は対象になりません。
一方、契約・発注については、認定前に行うことが可能です。
そのため、納期の長い設備を導入する場合は、
契約・発注 → 計画認定 → 設備取得
となるように進めるなど、スムーズに設備の取得ができるようにスケジュール管理を計画的に行いましょう。
■固定資産税の特例は自動的に適用されない
計画の認定を受けただけで、固定資産税の特例が自動的に適用されるわけではありません。
設備を取得した後、固定資産税の申告時に必要書類を添付して、
特例の適用を受けるための税務上の手続きが必要です。
この部分は、税理士などの税務専門家にご相談いただくことをおすすめします。
■「即時償却」と「固定資産税の特例」は別制度
設備投資では、「先端設備等導入計画」のほかに「経営力向上計画」を活用した税制措置があります。
経営力向上計画に基づいて一定の設備を即時償却した場合でも、固定資産税がなくなるわけではありません。
即時償却は法人税・所得税に関する税制措置であり、固定資産税とは別の制度です。
そのため、設備投資に関する税負担を検討する際は、
法人税等の税制措置と固定資産税の特例を分けて考えることが重要です。
申請の流れ
固定資産税の特例を利用する場合の大まかな流れは、以下のとおりです。
①従業員への賃上げ方針の表明
1.5%以上、または3%以上増加させる賃上げ方針を従業員に表明します。
➁計画を策定する
設備投資の内容や生産性向上の効果などを整理し、先端設備等導入計画を策定します。
③認定支援機関による確認を受ける
労働生産性が年平均3%以上向上すること、年平均の投資利益率が5%以上となることが、
それぞれ見込まれることについて、認定経営革新等支援機関による確認を受け、確認書を取得します。
④市区町村へ申請
必要書類をそろえ、設備を設置する市区町村へ申請します。
⑤計画の認定
市区町村による審査を経て、計画の認定を受けます。
⑥設備を取得
認定後に設備を取得します。
⑦固定資産税の特例に関する手続き
設備取得後、固定資産税の申告時に必要な手続きを行います。
なお、対象設備や申請方法、必要書類などは市区町村によって異なるため、事前に確認することが重要です。
固定資産税の申告・特例適用に関する具体的な手続きについては、
税理士などの税務専門家にご相談いただくことをおすすめします。
まとめ|設備投資にかかる固定資産税を軽減するなら、早めの準備を
先端設備等導入計画は、中小企業の設備投資による生産性向上を支援する制度です。
固定資産税の特例を利用すると、一定の要件を満たした設備について、
課税標準を1/2または1/4に軽減できます。
ただし、計画の要件だけでなく、設備の要件、賃上げ方針、取得時期、認定後の税務手続きなど、
確認すべきポイントは多岐にわたります。
また、認定後には固定資産税の申告も必要です。
設備投資の予定がある場合は、「設備を購入してから申請」ではなく、
設備を取得する前に先端設備等導入計画の活用を検討することが重要です。
導入する設備が特例の対象となるか、申請から設備取得までのスケジュールに問題がないかを
早めに確認しておきましょう。
弊社では、先端設備等導入計画の策定から認定経営革新等支援機関による確認書の取得まで、
事業者様の設備投資をサポートしています。
「この設備は固定資産税の特例の対象になる?」
「自社は要件を満たせる?」
「申請書類の作成をサポートしてほしい」
といったご相談がありましたら、BUDDYHOODへお気軽にお問い合わせください。
※当社は認定経営革新等支援機関です。
中小企業庁認定経営革新等支援機関検索システムよりご確認いただけます。
↓↓↓
https://www.ninteishien.go.jp/NSK_CertifiedRecordView?id=a0Ddc00000SkTLZEA3
※当記事は固定資産税の特例を受けるために必要な情報をまとめています。
特例が不要で計画の認定だけをご希望の場合とは要件等が異なりますのでご注意ください。

