助成内容や申請のポイントを解説
東京都の「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」には、
事業者の取組内容に応じて3つのコースが用意されています。
その中でも「賃上げ重点コース」は、
既存事業の生産性向上や競争力強化に取り組むとともに、
従業員の賃金引上げを目指す企業におすすめのコースです。
「設備投資によって生産性を高め、従業員の賃上げにもつなげたい」
「生産性や収益力を高めながら、従業員の給与水準も引き上げていきたい」
このような取組を検討している場合、賃上げ重点コースを活用できる可能性があります。
本記事では、創意工夫チャレンジ促進事業の「賃上げ重点コース」について、
対象となる取組や助成内容、申請時の注意点を分かりやすくご紹介します。
※創意工夫チャレンジ促進事業全体や3つのコースの違いについては、
以下の記事でご紹介しています。
↓↓↓
[「創意工夫チャレンジ促進事業とは?3つのコースをわかりやすくご紹介」]
賃上げ重点コースとは?
賃上げ重点コースは、既存事業を「深化」または「発展」させる取組を行いながら、
従業員の賃金引上げを目指す企業を支援するコースです。
取り組む事業そのものは、業務改善コースと同様に、
既存事業の深化・発展につながるものである必要があります。
つまり、既存事業をより強くするための取組と、従業員の賃金引上げを組み合わせたコース
と考えると分かりやすいでしょう。
■既存事業の「深化」とは?
現在行っている事業そのものを改善・強化する取組です。
例えば、
・高性能な設備を導入して競争力を高める
・既存の商品やサービスの品質を向上させる
・高効率機器の導入によって生産性を向上させる
といった取組が考えられます。
■既存事業の「発展」とは?
既存事業で培った技術やノウハウなどを活かし、
新たな商品・サービスや提供方法に展開する取組です。
例えば、
・既存の建設業で培った施工技術を活かした、新たな工法やサービスの開発
・既存の宿泊業で培った接客ノウハウを活かした、新たな宿泊プランやサービスの開発
・既存の小売業で蓄積した顧客データを活用した、新たな販売サービスの展開
などが考えられます。
ただし、既存事業との関連性が薄い、または全くない別の事業に取り組む場合は対象外となります。
どのくらいの助成が受けられる?
賃上げ重点コースの助成内容は、以下のとおりです。
・助成限度額:600万円
・助成率:助成対象経費の3/4以内(うち、小規模事業者は4/5以内)
・助成対象期間:交付決定日から最大1年間
例えば、助成対象経費が600万円の場合、受けられる助成額は以下のとおりです。
・小規模事業者以外:最大450万円(600万円 × 3/4)
・小規模事業者:最大480万円(600万円 × 4/5)
このように、同じ600万円の投資でも、小規模事業者の方が受けられる助成額が30万円多くなります。
※計画した賃金引上げを達成できなかった場合は、助成率が2/3以内となるため、
実際の助成額は変わる可能性があります。
業務改善コースの助成率が2/3以内であるのに対し、賃上げ重点コースでは、
賃金引上げ計画を策定することで、より高い助成率が設定されています。
どんな経費が対象になる?
賃上げ重点コースでは、以下のとおり、取組に必要なさまざまな経費が助成対象となります。
・原材料・副資材費
・機械装置・工具器具費
・委託・外注費(うち、「市場調査費」だけでの申請はできません。)
・産業財産権出願・導入費
・規格等認証・登録費
・設備等導入費
・システム等導入費
・専門家指導費
・不動産賃借料
・販売促進費:上限額150万円(既存事業に係る販売促進については対象外)
・その他経費:上限額100万円
※「専門家指導費」、「販売促進費」、「その他経費」の単独申請はできません。
ただし、すべての経費が自由に助成対象となるわけではありません。
既存事業の深化・発展を通じて経営基盤を強化するという、
本事業の目的に必要な経費であることが重要です。
申請前に整理しておきたい3つのこと
賃上げ重点コースを活用するためには、
設備やシステムを導入したいというだけでなく、今回の取組によって事業をどのように強化し、
その成果をどのように賃上げにつなげていくのかを整理することが重要です。
申請を検討する際は、まず次の3つを確認してみましょう。
1.現在の既存事業は何か
まずは、自社が現在どのような事業を行っているのかを整理します。
今回の取組が「既存事業の深化」または「既存事業の発展」に該当するかを判断するためには、
現在の事業内容を明確にしておく必要があります。
2.今回の取組によって何を改善・強化したいのか
次に、今回導入する設備やシステム、開発する商品・サービスによって、
どのような課題を解決したいのかを整理します。
例えば、
・生産にかかる時間を短縮したい
・品質を向上させたい
・これまで対応できなかったニーズに応えたい
など、自社の現状と取組の必要性を明確にすることが大切です。
3.賃金引上げをどのように実現するのか
賃上げ重点コースでは、事業の取組に加えて、賃金引上げに取り組むことが求められます。
そのため、今回の取組による生産性や収益力の向上を、
どのように従業員の賃金引上げにつなげていくのかを考える必要があります。
自社の業績や人件費の状況も踏まえ、実現可能な賃上げ計画を検討しましょう。
賃上げ重点コースで特に注意したいポイント
■賃上げだけでは対象にならない
本コースは、単に従業員の賃金を引き上げれば利用できる制度ではありません。
あくまで、既存事業を深化・発展させ、経営基盤を強化する取組を行うことが前提となります。
「どのような投資や取組を行うのか」
「その取組によって事業がどのように強化されるのか」
「その成果をどのように賃上げにつなげていくのか」
といった流れを整理することが重要です。
■賃金引上げ計画は実現可能な内容にする
賃上げ重点コースでは、申請時に賃金引上げ計画を策定します。
計画した賃金引上げを達成した場合は、3/4以内、小規模事業者は4/5以内の助成率が適用されます。
一方、計画を達成できなかった場合は、助成率が2/3以内となります。
そのため、無理に高い賃金引上げ目標を設定するのではなく、自社の業績や今後の事業計画、
人件費の状況などを踏まえ、実現可能な計画を立てることが大切です。
■申請要件を事前に確認する
賃上げ重点コースを利用するためには、取組内容や賃金引上げ計画だけでなく、
申請要件を満たす必要があります。
例えば、
・都内の中小企業者で、大企業が実質的に経営に参画していないこと
・直近の決算状況が所定の要件を満たしていること
・事業実施場所が所定の要件を満たしていること
など、複数の要件が定められています。
これらは申請要件の一部です。
創意工夫チャレンジ促進事業の対象者や主な申請要件については、
以下の記事の「助成金の対象者は?」で詳しくご紹介していますので、ぜひ併せてご確認ください。
↓↓↓
[「創意工夫チャレンジ促進事業とは?3つのコースをわかりやすくご紹介」]
次回の募集時期は?
令和8年度の賃上げ重点コースは、複数回に分けて募集が予定されています。
2026年8月26日時点で公表されている今後の募集予定は、以下のとおりです。
・第2回:令和8年9月1日(火)~9月14日(月)16時まで
・第3回:令和8年12月1日(火)~12月14日(月)16時まで
・第4回:令和9年3月1日(月)~3月12日(金)16時まで
申請を検討している場合は、募集開始後に準備を始めるのではなく、
早めに自社の取組内容や投資計画、賃金引上げ計画を整理しておくことをおすすめします。
なお、募集予定は変更される場合もあるため、申請を検討している場合は、
東京都中小企業振興公社の最新情報を確認しましょう。
まとめ|事業の成長と賃上げを両立させたい企業におすすめ
創意工夫チャレンジ促進事業の賃上げ重点コースは、
既存事業の深化・発展に取り組みながら、従業員の賃金引上げを目指す企業を支援する助成金です。
助成限度額は600万円で、計画した賃金引上げを達成した場合には、
通常3/4以内、小規模事業者は4/5以内の助成を受けられる可能性があります。
ただし、申請にあたっては、今回の取組が既存事業とどのようにつながっているのか、
取組によってどのような効果が期待できるのかに加え、実現可能な賃金引上げ計画を策定することが重要です。
「自社の設備投資は賃上げ重点コースの対象になる?」
「業務改善コースと賃上げ重点コースのどちらが適している?」
「賃金引上げ計画はどのように考えればいい?」
このような疑問をお持ちの方は、ぜひBUDDYHOODへご相談ください。

