助成内容や申請のポイントを解説

東京都の「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」には、
事業者の取組内容に応じて3つのコースが用意されています。

その中でも「新市場・新分野進出コース」は、新製品や新サービスを開発し、
これまでとは異なる新しい市場への参入を目指す企業に活用しやすいコースです。

「これまでにない新しい商品・サービスを展開したい」
「既存事業とは異なる新たな顧客層や市場に進出したい」
「新たな事業の柱となる取組を始めたい」

このような取組を検討している場合、新市場・新分野進出コースを活用できる可能性があります。

本記事では、創意工夫チャレンジ促進事業の「新市場・新分野進出コース」について、
対象となる取組や助成内容、申請時のポイントをわかりやすく解説します。

※創意工夫チャレンジ促進事業全体や3つのコースの違いについては、
 以下の記事でご紹介しています。
  ↓↓↓
「創意工夫チャレンジ促進事業とは?3つのコースをわかりやすくご紹介」


新市場・新分野進出コースとは?

新市場・新分野進出コースは、新製品または新サービスを開発し、
新しい市場への参入を目指す取組を支援するコースです。

業務改善コースや賃上げ重点コースが「既存事業の深化・発展」を対象としているのに対し、
新市場・新分野進出コースでは、これまでとは異なる市場や分野へ新たに進出する取組が対象となります。
助成限度額は最大1,000万円で、3コースの中では最も大きな投資規模を想定したコースです。


「新市場への参入」とは?

ここでいう「新市場」とは、単に新しい商品やサービスを販売するだけではありません。
自社にとって新たな顧客層や市場を対象とした、新製品・新サービスの展開を目指す取組が求められます。

例えば、
・建設業者向けのサービスを提供していた企業が、一般消費者向けの新サービスを開発する
・飲食店向けの業務用商品を製造していた企業が、一般家庭向けの商品を新たに開発する
・一般消費者向けに提供していたサービスを活かし、法人向けの新たなサービスを開発する
といった取組が考えられます。

重要なのは、「何を新しく開発するのか」だけでなく、
「どのような新しい市場に参入するのか」を明確にすることです。


どのくらいの助成が受けられる?

新市場・新分野進出コースの助成内容は、以下のとおりです。
・助成限度額:1,000万円
・助成率:助成対象経費の2/3以内
 賃金引上げ計画を策定した場合:3/4以内(うち、小規模事業者は4/5以内)
・助成対象期間:交付決定日から最大1年間

賃金引上げ計画を策定するかどうかや、小規模事業者に該当するかによって、
助成率が異なります。

例えば、助成対象経費が1200万円の場合、受けられる助成額は以下のとおりです。
・賃金引上げ計画を策定しない場合:最大800万円(1,200万円 × 2/3)
・賃金引上げ計画を策定した場合:最大900万円(1,200万円 × 3/4)
・小規模事業者が賃金引上げ計画を策定した場合:最大960万円(1,200万円 × 4/5)

なお、賃金引上げ計画を策定した場合でも、計画を達成できなかった場合は、
助成率が2/3以内となります。


どんな経費が対象になる?

新市場・新分野進出コースでは、以下のとおり、新製品・新サービスの開発及び新市場への進出に必要なさまざまな経費が助成対象となります。

・原材料・副資材費
・機械装置・工具器具費
・委託・外注費 (うち、「市場調査費」だけでの申請はできません。)
・産業財産権出願・導入費
・規格等認証・登録費
・設備等導入費
・システム等導入費
・専門家指導費
・不動産賃借料
・販売促進費 :上限額200万円(既存事業に係る販売促進については対象外)
・その他経費 :上限額100万円

※「専門家指導費」、「販売促進費」、「その他経費」の単独申請及び
 単独申請不可となっている経費のみを組み合わせての申請はできません。

ただし、すべての経費が自由に助成対象となるわけではありません。
新市場・新分野への進出を通じた経営の多角化や経営基盤の強化という、
本事業の目的に必要な経費であることが重要です。


申請前に整理しておきたい3つのこと

新市場・新分野進出コースを活用するためには、
「新しい事業を始めたい」というだけでなく、どのような新製品・新サービスを、
どの市場に向けて展開するのかを整理することが重要です。

申請を検討する際は、まず次の3つを確認してみましょう。

1.今回開発・提供する「新製品・新サービス」は何か

まずは、今回の取組で新たに開発・提供する製品やサービスを明確にします。
既存の商品・サービスの販売先を単に広げるだけでは、本コースの対象となりません。
今回の取組における「新製品」または「新サービス」を具体的に整理する必要があります。

2.どのような新市場・新分野に進出するのか

次に、その製品やサービスによって、どのような市場や分野に新たに進出するのかを整理します。
「現在はどのような市場を対象としているのか」
「今回新たにどの市場・分野に進出するのか」
「その市場にはどのようなニーズや成長の可能性があるのか」
といった点を整理しておくことが重要です。

単に「新しい分野に挑戦したい」とするのではなく、
進出先の市場動向や社会状況の変化なども踏まえて考えることで、
取組の必要性や市場性を説明しやすくなります。

3.新事業をどのように実現するのか

新しい製品やサービスを開発するだけでは、実際に事業として展開することはできません。
開発後の製造・提供方法や販売方法、必要な人員・設備などを整理し、
実際に事業を進めていける体制があるかを確認することも重要です。

また、新市場への進出によって、
・新たな顧客層の獲得
・収益の柱となる新たな事業の育成
・既存事業との相乗効果による売上拡大
など、どのような成果を目指すのかもあわせて整理しておきましょう。


新市場・新分野進出コースで特に注意したいポイント

■「新製品・新サービスの開発」と「新市場・新分野への進出」の両方が必要

本コースでは、
「新製品・新サービスを開発すること」と「新市場・新分野への進出を目指すこと」
の両方を満たす取組である必要があります。
そのため、すでに売上実績があり、製品・サービスの提供体制が確立されている取組は対象となりません。

また、高性能な機器・設備の導入による競争力強化や、
高効率な設備の導入による生産性向上といった、他の助成金でよく見られる取組だけでは、
本コースの対象とならない点にも注意が必要です。

「新しい製品・サービスを開発する」だけ、
あるいは「新たな市場に進出する」だけではなく、両方を満たしていることが重要です。

■審査の視点を意識して事業計画を整理する

本コースでは、単に「新しいことに挑戦する」だけでなく、
その取組の内容や市場性、実現可能性なども重要になります。

事業計画を考える際には、自社の強みや現状を適切に把握しつつ、
新規性市場妥当性実現性などを意識するとよいでしょう。

特に新市場への進出では、
「なぜ自社がこの市場に進出するのか」「なぜ今、この取組が必要なのか」
自社の強みや市場環境と結び付けて説明できるようにしておくことが大切です。

■賃金引上げ計画を達成できない場合は助成率が下がる

賃金引上げ計画を策定することで、通常より高い助成率が適用されます。
ただし、計画した賃金引上げを達成できなかった場合は、助成率が2/3以内となります。
そのため、より高い助成率を受けることだけを目的に無理な目標を設定するのではなく、
自社の業績や今後の事業計画などを踏まえ、実現可能な計画を立てることが重要です。

■申請要件を事前に確認する

新市場・新分野進出コースを利用するためには、
取組内容だけでなく、各種の申請要件を満たす必要があります。

例えば、
・都内の中小企業者で、大企業が実質的に経営に参画していないこと
・直近の決算状況が所定の要件を満たしていること
・事業実施場所が所定の要件を満たしていること
など、複数の要件が定められています。

これらは申請要件の一部です。
創意工夫チャレンジ促進事業の対象者や主な申請要件については、
以下の記事の「助成金の対象者は?」で詳しくご紹介していますので、
ぜひ併せてご確認ください。
 ↓↓↓
「創意工夫チャレンジ促進事業とは?3つのコースをわかりやすくご紹介」


次回の募集時期は?

令和8年度の新市場・新分野進出コースは、現在、第2回の募集が予定されています。
・第2回:令和9年1月4日(月)~1月14日(木)

新市場・新分野進出コースは、他の2コースと比べて募集回数が少ないため、
申請を検討している場合は早めに取組内容や事業計画を整理しておくことをおすすめします。

なお、募集日程は変更される可能性もあるため、申請を検討している場合は、
東京都中小企業振興公社の最新情報を確認しましょう。


まとめ|新たな市場・分野への進出を目指す企業におすすめ

創意工夫チャレンジ促進事業の新市場・新分野進出コースは、
新製品・新サービスを開発し、新たな市場・分野への進出を目指す中小企業を支援する助成金です。

助成限度額は最大1,000万円となっており、
新たな事業展開に向けた設備導入や商品・サービス開発などに活用できる可能性があります。

ただし、本コースでは、「新製品・新サービスの開発」と「新市場・新分野への進出」の両方を満たす取組であることが重要です。

そのため、申請を検討する際は、
・今回開発・提供するものは何が新しいのか
・どのような新しい市場や分野を目指すのか
・新たな事業を実現するための体制が整っているか
といった点を整理しておく必要があります。

また、新市場・新分野への進出では、
「なぜその市場・分野に進出するのか」「なぜ自社が取り組むのか」を、
市場動向や自社の強みと結び付けて考えることも大切です。

「自社が考えている新規事業は対象になる?」
「新製品・新サービスの開発と認められる?」
「業務改善コースと新市場・新分野進出コースのどちらが適している?」

このような疑問をお持ちの方は、ぜひBUDDYHOODへご相談ください。