東京都内の中小企業・小規模事業者を対象とした助成金制度
「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」は、
外部環境の変化に直面する企業が、既存事業を強化・発展させるために活用できる支援制度です。

本記事では、
・申請までの流れ
・書類審査・面接審査のポイント
・申請時に特に注意すべき点
を、わかりやすく解説します。


1. 経営基盤強化事業とは?【制度の基本整理】

本事業は、外部環境の変化を受けて経営課題が生じている企業を原則対象としています。

✔ 対象となる「外部環境の変化」とは
 ・ポストコロナや米国関税措置の影響
 ・原材料費・エネルギー価格の高騰
 ・市場環境や顧客ニーズの変化
 ・デジタル化・業界構造の変化 など

こうした環境変化により、売上減少・利益率低下・経営の不安定化などの影響を受けていることが
前提条件となります。


2. 目的は「既存事業の深化・発展」【ここが重要】

この助成金の最大のポイントは、
「既存事業の深化」または「既存事業の発展」が目的である点です。

× 対象外の例
 ・既存事業と全く関連性のない新規事業
 ・単なる事業転換・別業種への参入
〇 認められる例
 ・既存事業のノウハウ・顧客・技術を活かした新サービス
 ・既存事業をベースにした関連性のある新規事業
 ・既存商品の高付加価値化、販路拡大、DX化

つまり、
「新規事業=NG」ではないが、既存事業との「関連性」が必須
という点を押さえて事業計画を作成する必要があります。


3. 申請までの流れ【全体像】

STEP1|募集要項・要件の確認

まずは公式サイトと募集要項で、
・対象者
・対象経費
・助成率・助成上限額
・申請スケジュール
を必ず確認します。

STEP2|GビズIDプライムの取得

申請はJグランツ(電子申請)限定のため、GビズIDプライムアカウントが必須です。
※取得には時間がかかるため早めの準備が重要。
 ただし、マイナンバーカードがある場合は、最短即日取得できます。

STEP3|申請書類の作成・提出(書類審査)

申請時(書類審査通過前)の提出書類は、いずれのコースも以下の2つのみです。
どちらも東京都中小企業振興公社のHPからダウンロードできます。
・申請書
・誓約書2種類(「反社会的勢力排除に関する誓約書」と「助成金申請に関する誓約書」)
※なお、書類審査時には必要ではありませんが、計画策定には、見積書・相見積書が必要となりますので、
必ず早めに取得しましょう。


4.書類審査のポイント【押さえるべき5点】

審査では、発展性、市場性、実現性、優秀性、自己分析力が評価の視点となります。
以下のポイントに加え、公社HPにある記入例も参考にしながら作成しましょう。

① 外部環境の変化を具体的に書く
 抽象表現ではなく、売上減少・原価上昇・受注減など、自社への影響を具体的に説明することが重要です。

② 既存事業との関連性を明確にする(最重要)
 本事業は「既存事業の深化・発展」が前提です。
 既存の技術・ノウハウ・顧客基盤を、どのように活かすのかを明確にしましょう。

③ 課題と取組内容のつながりを意識する
 外部環境の変化による課題に対し、なぜその取組が必要なのか、論理的につながる説明が求められます。

④ 実現可能性のある計画にする
 スケジュールや数値計画は、無理のない現実的な内容に。
 段階的な実施計画が評価されやすいポイントです。

⑤ 助成金の使い道を明確にする
 導入する設備・システムが、事業強化にどう寄与するのかを具体的に示しましょう。


5. 面接審査のポイント【押さえるべき5点】

書類審査に通過すると、「一般コース」と「賃上げ重点コース」では
1時間程度の面接審査(原則、対面形式)が実施されます。
顧問や経営コンサルタント等の同席、代理出席等はできませんので、
以下のポイントを参考に、事業計画をしっかり説明できる準備をして臨みましょう。

① 申請書の内容を自社の言葉で説明できるか
 申請書を読み上げるのではなく、
 自社としてなぜ取り組むのかを理解したうえで説明できることが重要です。

② 外部環境の変化と事業内容の整合性
 外部環境の変化が、なぜその取組につながるのか。
 因果関係をシンプルに説明できるかが見られます。

③ 既存事業との関連性が明確か
 面接では特に、「新規事業ではないか?」という点を確認されやすいため、
 既存事業の強みをどう活かすかを明確に伝えましょう。

④ 数値・スケジュールの妥当性
 売上見込みや実施時期について、根拠をもって説明できることが重要です。
 過度に楽観的な計画は避けましょう。

⑤ 実施体制を具体的に説明できるか
 誰が、どのように進めるのか。
 社内体制や役割分担を説明できると、実現性の評価が高まります。

なお、面接は日程(発表時間と質疑応答時間)・実施場所等が明記されたメールが届きますので、
そこで詳細を確認しましょう。
発表に自信のない方は台本を作成するのも一手です。
また、事前に発表の練習を実施するくらい真剣にやらなければここで不採択となります。
形式的なものではなく、非常にシビアな審査であることを押さえておきましょう。


6. 見落としがちな注意点

書類審査通過後が本番!追加提出書類が「非常に多い」
書類審査を通過すると、
見積書・証明書・詳細資料などの追加提出が求められます。
例:
 ・見積書(原則、複数社)
 ・履歴事項全部証明書
 ・納税証明書
 ・開業届
 ・賃金引上げ計画書、賃金台帳の写し(賃金引き上げ計画の申請希望者のみ)
「後で集めればいい」と後回しにすると、非常に大変です。
  書類審査中から、見積取得や証明書準備を並行して進めるのが現実的です。

■  発注は「必ず交付決定後」【超重要】
この助成金で最も多い失敗例がこちらです。
× 交付決定前に
 ・発注
 ・契約
 ・支払い
を行ってしまうケース。
※一方で、発注の遅れ等により、納品日が助成対象期間を超えた場合や
 クレジットカードの引き落とし日が助成対象期間を超えた場合も
 対象外になってしまいます。
交付決定前の発注は、原則すべて助成対象外になります。
 助成対象期間内(交付決定日から1年間)に
 契約・実施・支払が完了する経費が助成対象のため、
 しっかりとしたスケジュール管理が必要です。

■ 面接日程は変更不可(※小規模事業者向けアシストコースは面接なし)
 指定された日程の変更はできません。
 また、指定の日時に出席できなかった場合には、申請を辞退したものとみなされます。
募集要項に記載されている面接審査期間は、
 いつでも対応できるようにスケジュールを調整
しておきましょう。


7. まとめ|経営基盤強化事業を成功させるために

本事業は、
・外部環境の変化を受けた企業が原則
・既存事業の深化・発展が目的
・面接審査がある
という明確なルールがあります。

・書類審査後の対応負荷が大きい
・発注は交付決定後のみ
など、注意点はありますが、
しっかり準備すれば、
都内中小企業にとって非常に活用価値の高い助成金です。
必ず公式サイト・募集要項を熟読し、余裕をもったスケジュールで進めましょう。


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経営基盤強化事業は、制度要件の理解だけでなく、
既存事業との関連性や実現可能性を踏まえた事業計画の整理が重要となる助成金制度です。

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