採択事業者

「採択後、補助金を受け取るための手続き(交付申請)が必要って聞いたけど…。交付申請って何をしたらいいんだろう。具体的な流れを教えてください。」

こういった悩みにお答えします。

本記事の目次・概要

1 目次

  • 交付申請の3つの手順
  • 交付申請の注意点

2 概要

 補助金が採択された後は、補助金を受け取るための手続き(交付申請)が必要となります。交付申請の内容が認められると「交付決定(補助事業の開始)」となります。

 採択事業者がはじめに抱える悩みとして、「交付申請のやり方が分からない」という点があると思います。そこで今回は「交付申請の手順や注意点」などを解説していきます。

 また、ここでは、当社がご支援してきた事業者様がはまってしまった問題点もまとめました。

 これらを押さえておくことで、交付申請業務の効率化につながればと思います。

なお、当社では交付申請業務単体での委託は一切受け付けていません。

※本記事は、公開時現在(2022年3月28日)の情報です。

本記事の内容

1 交付申請の3つの手順

  • 手順1 交付申請書別紙1をダウンロードする
  • 手順2 必要書類を集める
  • 手順3 Jグランツから申請する

手順1:交付申請書別紙1をダウンロードする

 交付申請に使用する別紙1をダウンロードします。具体的な方法は下記の通りです。

・ダウンロード方法はこちら

・記載要領はこちら

■手順2:提出書類を揃える

 見積書や相見積書などの提出書類を集めます。ここが一番大変です。申請内容に不備があると、交付決定までに通常より時間がかかってしまいますので、申請前に、本ページの「交付申請の注意点」の内容を必ずご確認ください。

 主な申請資料は下記の通りです。

(1)必須書類(全ての補助事業者)

こちらは原則として交付申請の注意点に記載されているものを抜粋した資料です。内容を理解している方は飛ばしていただいてかまいません。

①交付申請書別紙1

②(法人の場合)履歴事項全部証明書・(個人事業主の場合)確定申告書

・履歴事項全部証明書(交付申請書提出日より過去3ヶ月以内に発行されたもの)

・直近の確定申告書(第1表)

③(法人の場合)決算書・(個人事業主の場合)青色申告書/白色申告書(収支内訳書)

・決算書(直近の確定したもの)

※ 応募申請時に直近の決算書等を提出した補助事業者は不要です。

④見積依頼書・見積書・相見積書

計上する全ての補助対象経費の見積書の提出が必要です。また、1件あたりの見積額の合計が50万円(税抜き)以上になる場合は、同一条件による相見積書を取ることが必要です。

※ 相見積書を取れない場合、または、最低価格を提示したものを選定していない場合には、その選定理由を明らかにした理由書(「業者選定理由書」<参考様式7>)と価格の妥当性を示す書類を提出します。

※ 経費科目にかかわらず「見積提出のお願い(見積依頼書)」<参考様式6>において物件等の仕様を確認できる書面を提示し、入手価格の妥当性を証明できるよう必ず見積書を取ってください。

※ 交付申請日に有効な見積書の提出が必要となります。(事前着手の承認を得ている事業者は、令和3年 2 月15日以降有効であることが必要です。)

⑤建物費、機械装置・システム構築費の追加書類

・建物費を計上する補助事業者は相見積書とともに設計書等を提出します。

(建物の改修の場合は見取図を提出します。)

・機械装置・システム構築費を申請する場合、価格の妥当性を証明するパンフレットなどを提出します。

(2)該当事業者のみ必須書類

①交付申請書別紙2

※ 技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費を計上する場合

②海外旅費の詳細

※ 上記の経費を計上した補助事業者は、海外渡航計画書<参考様式12>を提出します。

③事前着手承認のお知らせメールデータ

※ 令和3年10月27日までに申請した場合は、事前着手承認通知の受信日時の確認できるメールデータ、令和3年10月28日以降に申請した場合は、作成日が確認できる通知文書の提出が必要です。

④補助対象経費により取得(改修)する建物に係る宣誓・同意書<参考様式20-2>

※ 建物費を計上している補助事業者は、提出が必要です。

※ 第 3 回以降の採択事業者は、交付申請書別紙1を電子申請システムよりダウンロードされた際に、交付申請書別紙1に含まれています。

(3)交付申請の注意点

 ここでは、交付申請のよくある不備についてご説明します。

■注意点①:見積書は有効期限内であることを確認してください

 交付申請書提出日に有効な見積書が必要です。見積書を取得する際は、有効期限6カ月など、余裕のあるスケジュールで発行いただくことをおすすめします。

■注意点②:同一条件の見積書が必要です

 契約(発注)1件あたりの見積額の合計が50万円(税抜き)以上の場合、2者以上の同一条件の相見積書を取ってください。同一条件とは、同一仕様の相見積書です。

 同一仕様とは、「見積書の明細の記載方法まで一致していること」です。

 なぜ別々の会社に見積もり依頼を出すのに、見積書の明細項目まであわせなければならないのか、意味が分かりませんよね。ですが、そういうものだと割り切って準備してください。

■注意点③:諸経費などは対象外となります

 諸経費、一般管理費、雑費、交通費などは、使途が不明なため補助対象外となります。対象経費として申請する場合は、具体的な内容が書かれたものを提出してください。

 例えば、機械の設置って当然ですが、機械メーカー等が持ってくる(つまり移動する)ため、見積に交通費と書く気持ちもわかります。

 しかし、補助金目的として交通費は対象にならない、というルールが優先されます。このように補助対象経費に沿った経費だけが補助金対象となるわけです。

 (4)事例紹介

 ここからは苦労した事例をいくつか紹介します。

■事例①:システム投資を加えた企業の事例

 スクラッチ開発(1からシステムを開発すること)を実施する企業としては、システム投資の際にシステムの仕様が分かる書類の提出が求められます。この場合、要件定義書などをあらかじめ作ってくださるシステム会社であればいいのですが、そうでない場合には、システムの全体像が分かる資料を別途準備します。

 ここで有効なのは「画面遷移図」です。どのような画面があり、それぞれどのように画面が動いていくのかがざっくりわかる図ですね。これをA4用紙1枚でまとめるといいでしょう。

画面遷移図の例

■事例②:機械装置の中に補助対象経費が入る場合

 原則として、「汎用性のあるもの」は対象になりません。例えば、パソコン、スマホ、ナンバープレートのついた車両などです。

 補助金申請を行う場合に、特定の業者に対し、補助対象となる機械装置を買いつつ、パソコンなども抱き合わせで購買するケースもあるでしょう。

 その場合には、「補助対象となる機械装置」と「汎用品」の見積書は別に作成してください。その上で、補助対象となる機械装置だけの見積書を提出しましょう。

 当然に汎用品の見積書は提出したとしても補助対象にはなりません。注意しましょう。

事例③:見積書の有効期限がない or 切れている場合

 交付申請書を提出する段階で、今後購入するものについては「見積書が有効であること」が必須です。

そのため、見積書は次のように準備する必要があります。

・少なくとも見積日と有効期限を記載してください。

・その上で、有効期限はできるだけ長いものにしてください。例えば有効期限1ヶ月としておいて、実際交付申請してみたら1ヶ月をとっくに過ぎていた・・・ということになると見積書は再度作り直しとなります。見積書を作成していただく業者に相談し、できるだけ有効期限を延ばしてもらいましょう。

■事例④:申請時に比べて設備が変わった場合

 申請時購入予定だった機械のメーカーや型式を変えたい!という場合もあるでしょう。その場合には交付申請書のエクセル資料の機械装置・価格を上書きすればそれでOKです。購買金額が上昇するとしても、補助金額は申請時以上いただけない可能性があります。あくまで補助金申請時に申請した補助金額が補助上限金額となる、という落としどころになる可能性があることはよくとらえておきましょう。

■事例⑤:申請時に比べて金額の構成が変わる場合

こちらは基本的には問題ないようです。過度に金額に変更がない場合には、経費項目の付け替えは有効になるパターンが多いようです。

(例)建物100万円、機械装置100万円の補助金で申請した→採択後建物120万円、機械装置が80万円になった。

このようなケースは問題なく交付が認められるようです。大きく変わる場合には事務局に相談しましょう。

■事例⑥:販促費がどうしてもわからない場合

 機械装置や建物は見積書を取り寄せることができますが、自社でインターネット広告を運用する場合については見積書を得ることが難しいですよね。

このような場合は見積書が作成できない旨を事務局に相談しましょう。必要な業務を教えてくれますよ。

事例⑥:やりたいことが全く変わってしまった

 事業再構築補助金については、新たな取り組みであるため事業環境が毎月のように変わります。そのため、補助金申請時は事業Aをやりたいと考えていて、採択後、事業Bをやりたくなる、ということもありますよね。

 そのような場合も事務局に相談してみてください。状況によって対応は変わるでしょうが、まるっきりNGとはならない場合もあります。

■手順3:Jグランツから申請する

 交付申請は、Jグランツから行います。具体的な操作方法は、採択者向け資料のページから「Jグランツ」入力ガイドをダウンロードしてください。

 入力ガイドのダウンロードはこちらから

申請後の注意点:あとからあとから少しずつ指摘をしてくる審査官も!

 残念な話ですが、交付申請を行ったあとに、何度も何度も電話をかけてきて、さみだれ式に指摘をしてくる事務局員もいます。

 一度に言ってくれればいいのに・・・と思うのですが、そういうことができない人もいるんですよね。そうなると、少し書類を修正しては提出させられる、といういやな思いを感じることがあります。

 いやな思いを感じるだけならまだましなのですが、これによって交付申請が下りず、補助金も出ないという最悪なパターンだけは避けましょう。

 そのためにもできるだけ早く申請ですね。面倒だからといって交付申請を後回しにするのは絶対にやめましょう。

まとめ

 いかがでしたか。交付申請が遅れることで、補助事業実施期間が当初の事業計画上の予定より短くなる恐れがあります。事業計画期間を適切に確保するためにも、交付申請を速やかに実施しましょう。