インタビュー1

株式会社BUDDYHOOD代表の大庭 聖司が、ライターの鹿倉安澄さんからインタビューを受けました。

鹿倉さんによるインタビュー記事を弊社ブログに掲載いたします。

今回のインタビューでは、弊社代表の大庭がどのような形で事業を立ち上げるに至ったか、またどのような仕事をメインで実施しているのか、といった点を中心にざっくばらんにお話させていただきました。

そちらの内容をまとめていただいたものが以下のインタビュー記事です。

ぜひ気軽にご購読していただければと思います。

今回は、中小企業診断士として働く大庭  聖司(おおば せいじ)さんにお話をうかがいました。大庭さんは東京都新宿区で株式会社BUDDYHOODを経営されています。

終電で帰宅しながら猛勉強 SEから中小企業診断士に

鹿倉 ご経歴を拝見して驚いたのですが、IT企業のシステムエンジニア(SE)から中小企業診断士への転職をされたとか。とても大きな転換ですが、躊躇されなかったんでしょうか?

大庭 よく言われるのですが、実はそれほど大きな転換だとは思ってないんです。

というのも「お客様の悩みを聞いて一緒に考える」という点では、どちらも同じだからです。SEとしての解決手段はシステム導入を含むITに限られていましたが、中小企業診断士になってからは、より俯瞰した視点でお客様のお悩みや課題の解決に対応できるようになりました。

職は変わりましたが、私にとっては同じキャリアの線上にいる感覚なんです。

鹿倉 SEとしてはどのようなお仕事をされていたのでしょうか?

大庭 顧客管理や受注管理などを扱う基幹システムの企画・開発をしていました。受注すると30名ほどのSEでお客様先に常駐し、システム開発をします。それが終了するとまた別の会社に常駐、というのを繰り返すので、関東近辺を転々としていましたね。

鹿倉 お忙しくされていたんですね。中小企業診断士の資格はその時期に取得されたのですか?

大庭 エンジニアとしての仕事は評価されていましたが、繁忙期は終電での帰宅も多く、どうにかこの余裕のない生活を変えたいという想いが膨れ上がってきて…。ふと大学院時代にコンサルティング業務に興味を持っていたことを思い出したんです。そこから一念発起、SEの業務に追われながらも必死に勉強時間を捻出し、中小企業診断士の資格を取得しました。

お客様と営業さんの間の「橋渡し」 常に一緒に考える姿勢を大切に

鹿倉 お仕事をする上では何を大切にしていますか?

大庭 昔から「お客様の話をじっくり聞くように」と心がけています。お客様に一方的に提案するだけなら、専門家であれば誰でもできます。でもそれでは、こちらの意見を押し付けているだけ。本質的に解決できているのかというと疑問です。

中小企業診断士の仕事は、経営者の皆様が良い経営ができるようにサポートすることです。私は、経営者と同じ目線に立って一緒に考えるよう、常に意識しています。

第三者である私に話すと、お客様自身に見えていなかった課題が姿を現します。本当の課題を見つけ出し、ともに解決していくのが私の仕事です。

鹿倉 「お客様とコミュニケーションをとりながら、一緒に課題を解決したい」という想いは、一貫していらっしゃるんですね。

SEとしてのご経験が中小企業診断士の仕事に活かされた場面はありましたか?

大庭 中小企業診断士として支援させていただいていた会社で「新たなシステムを導入したい」と相談されたんです。SEをしていましたからそういう話はもちろん得意分野です。

お客様の目的に合致した要件定義になっているかを確認し、無駄な買い物にならないようにサポートしました。

中小企業の経営者の方はIT関連に苦手意識をお持ちの場合が多いんです。今の時代、ITの導入は必須ですが、よくわからないまま、導入を決めてしまうケースがあるんですよね。

鹿倉 わからないまま不要なものまで売りつけられてしまうということですか?

大庭 いえ、そういうことではなくて。元SEなのでIT企業側の事情もわかるんですが、商品説明をする営業さんも「その会社が何を求めているのか」をそもそも把握するのが難しいんですよ。それが特殊な製造業であればなおさらです。さらに、中小企業のサイドでも「実際にどこまでがシステムで可能なのか」がわからないため、IT企業側にうまく伝えられないというケースも多々あります。となると、営業さんはパッケージされたシステムを丸ごと紹介するしかないわけです。

しかし、中小企業側で実際に必要な機能はほんの一握り。不必要な機能まで見積もりに入ってしまうと、費用面で断念せざるをえなかったり、導入しても使いきれなかったり、販売するIT企業にとっても、導入する会社にとっても、いいことはないんです。

私が間に入り、お客様に実現したいことや経営的な目標をヒアリングして、本当に必要なシステム要件をあぶりだしてから見積もりを取ってもらうようにしています。

お客様が何を実現したいか、そのために必要な最低限の機能は何か、洗い出してシステム会社に正確に伝える橋渡しをしているんです。

東京都よろず支援拠点の相談員として活躍

大庭 また、SE時代に取得したITの資格が目に留まり、2014年に商工会議所が運営する「東京都よろず支援拠点」に呼んでいただきました。

鹿倉 これまでの経験が、今に繋がっているんですね。東京都よろず支援拠点は公的なお仕事ですよね。相談員になった経緯をもう少し詳しく教えていただけますか?

大庭 当初、東京都よろず支援拠点は商工会議所が運営しており、私はもともと商工会議所に専門家として登録していました。

「IT関係に強い人を探していて、多くの資格を持っている大庭さんに白羽の矢が立った」と、あとから聞きました。とにかく勉強が好きでさまざまな資格を持っているのですが、まさかIT関連の資格がここで活きるとは(笑)

鹿倉 何が役に立つかはわかりませんね!IT関係のどんな資格をお持ちなんですか?

大庭 データベーススペシャリスト、応用情報技術者、UMLモデリング技能認定、マイクロソフト認定ソリューションデベロッパーなどです。

鹿倉 難しそうな資格ですね…。私には聞き慣れないものばかりです(笑)東京都よろず支援拠点では、どのような活動をしていたのでしょうか?

大庭 中小企業の経営者や創業予定者から、経営改善、売上向上、人材採用、新規事業の立ち上げなど様々な相談を受けていました。当初は、1日に4〜5社の相談に対応して、合間にレポートを書いていました。相談は1社あたり1時間半ほどなので、5社の相談を受けたらそれだけで夜になってしまいます。帰りの電車ではもうヘトヘトでした(笑)

でも、よろず支援拠点での活動のおかげで、多岐にわたる業種の経営者の方々のお話をうかがう貴重な機会が得られました。この経験は私のかけがえのない財産で、非常に感謝しています。大変ではありますが、個人でやっていたら、ここまで多くは経営者の悩みと向き合えなかったでしょう。

また、途中で運営が東京都信用金庫協会に変わったのをきっかけに、金融機関との仕事が舞い込むようになりました。それまでは、資格予備校LEC(東京リーガルマインド)の講師業のウエイトが高かったんです。ありがたいことに、そこからコンサルティングの受注が大きく伸び始めました。

国から商工会議所に、中小企業の経営者の無料相談所として「よろず支援拠点」を設置するよう通達があって、相談員を集めることになったそうです。そこで、もともと専門家登録されていたメンバーの経歴書を確認していたそうなんです。

中小企業診断士に合格し、講師になる夢も叶った

鹿倉 その頃から経営が軌道に乗ってきたのですね。LEC講師のお仕事はどのような経緯で始めたんですか?

大庭 実は、高校生の頃から講師になるのが夢だったんです。中小企業診断士の資格をとった直後に、LECを含め、いくつかの予備校の講師に応募してみました。講師に応募できるのは、合格直後からの数年に限られているのでチャンスは数回のみ。最後の最後で採用していただいて夢が叶いました。

鹿倉 合格から日が浅く、受験勉強を直前までしていた方でないと、未経験では講師として採用されないんですね。

大庭 LECの講師にはなれたものの、LECの授業を受けたことがなかったんです。参考にできるような経験もないので、授業のスタイルは自分で一から構築していきました。
LECでは決められたスタイルはなく、講師に一任してくれます。私にとってはやりやすく、本当に助かりました。

そもそも中小企業診断士試験には、ほぼ独学で合格していましたし、マニュアルに沿ってやるよりも、自身で授業を構築するほうが合っていたんですよね。

鹿倉 今日のインタビューに備えてWeb検索していたのですが、実は大庭さんがご出演のLECの動画を見つけて、こっそり見てしまいました(笑)生徒さんから「授業に惹き込まれる」「分かりやすい」と人気のようですね。

大庭 けっこう前の動画なんですが、まだ残っているんですね(笑)
私は現役の中小企業診断士でもあるので、試験勉強といえど実務に関わる部分は、実体験を交えて説明するように心がけています。試験に受かった後も講義で学んだ内容を実務に活かしてほしいと思っているからです。

また、生徒さんとは時間が許す限りコミュニケーションを取るように心がけています。授業の休憩時間には、生徒さんがいつの間にか私の周りに集まっていて質問攻めになることもあるんです(笑)

鹿倉 独学で確立されたノウハウだからこそ、生徒さんに響き、慕われるのかもしれませんね。

大庭 中小企業診断士になった元生徒からもよく連絡をもらいますが、近況報告をしてくれるのはうれしいですね。人との繋がりを大切にしたいと思っています。

講師の職が新たな仕事に

大庭 講師経験を積めたおかげか「人前で話すのがお上手ですね」とお褒めいただき、金融機関や企業から「ぜひ集合研修の講師を」とお願いされるケースも増えました。

鹿倉 やりたかった講師の仕事を依頼してもらえるようになったんですね。金融機関のみなさんとは、集合研修以外のお仕事もされるのですか?

大庭 おかげさまで、相談窓口業務も請け負うことが増えました。

今までに5社ほどの金融機関とお仕事をしています。最近では、東栄信用金庫で創業希望者や創業から5年以内の人を対象とした「創業塾」で講義をしています。また複数の信用金庫経由で、補助金の申請サポートを行っています。

鹿倉 講師や通常のコンサルティング業務だけでなく、雑誌に寄稿もされているとか?

大庭 そうですね。中小企業診断士を目指す受験生と公的機関向けの雑誌『企業診断』に寄稿してます。毎月、資格試験の問題を作成しているのですが、これとは別に特集記事を書くこともあります。最近では18ページ分の記事制作を担当しました。私は原稿の提出が早い方らしくて、編集者さんに喜ばれます(笑)毎月締め切りがありますが、私の場合は、期初に一年分の原稿を提出しているんです。執筆に限らず、依頼から納品までが短いのには、いつも驚かれます。

鹿倉 集中してお仕事されているのと、基礎的な学力がとびぬけて高いので、私を含め、普通の人から見たらものすごい速さに感じるんでしょうね(笑)

大庭 私としては、ただ目の前にある仕事を終わらせているだけなのですが。それから今年は、念願の書籍出版を予定しています。ほとんど書きあがっていますが、出版は秋口になりそうです。経営者の皆様にきっと面白いと思ってもらえる内容になっていると思います。今から皆様の反応が楽しみです。

中小企業経営者に寄り添い、徹底的に向き合って伴走してくださる大庭さん。

IT知識と幅広い業種・職種のコンサル経験を活かした適切な課題解決をお望みの方の強い味方ですね。

本日はお話、ありがとうございました。

プロフィール
大庭 聖司(おおば せいじ)

慶應義塾大学院理工学研究科修了。SEとしてIT企業に勤めていたが、2011年中小企業診断士登録とともにLEC中小企業診断士の専任講師に就任。4月にOHBAコンサルティングを立ち上げ、独立した。2014年より東京都よろず支援拠点コーディネーターとして活躍。2015年、株式会社BUDDYHOOD設立。